全盲の日本人、世界ではじめてヨットで太平洋横断

今週の授業で取り上げた岩本さんは本当に格好いい男なので少し説明を足したいと思います。 

 

岩本さんは生まれながらに先天性弱視を持っていましたが、13歳から視力が落ち始め16歳で全盲に。いよいよ人生に絶望し死んでしまおうかと考えた時に、既に亡くなっていた叔父さんが現れ、「お前がポジティブに生きることで大勢の人間が勇気をもらえる。だから、死ぬな!」と言われたそうです。そこから、彼の挑戦が始まりました。

 

猛勉強の末に筑波大学盲学校教員となり、全盲のチャレンジとしてヨットを選びました!そして、アメリカに生活の場を移してからはなんとヨットの世界選手権に出るほどになりました。そして、2013年、TVキャスターでもおなじみの辛坊さんと共に、大阪北港からアメリカ西海岸のサンディエゴ港への太平洋横断という彼の一回目のチャレンジに至ります。

 

しかし、この一回目の挑戦では挑戦6日目で運悪くクジラにぶつかりヨットが沈没!目の見えないまま宮城県沖1200キロ洋上、太平洋のど真ん中で11時間も漂流した後、二人揃って無事に救助されました。しかしその後、万全の準備をしたにも関わらず船を失い死にかけたことや、「無謀な企画」、「(救助は)税金の無駄」など心無いバッシングにもさらされ、一時は海に出ることすら怖くて出来なくなったそうです。

 

でも岩本さんは、「このままじゃいけない。諦めず挑戦し続けることによって夢は必ず実現すると言ってきた僕が、ここで諦めてはいけない。過去の出来事にも意味づけをすることによってポジティブに生きることができるし、プラスに変えて生きていくことができる」と、目の見えない状態での太平洋横断という挑戦に再び挑みます。

 

一回目の挑戦時にクジラによりヨットが沈没して漂流した恐怖がかなりのトラウマになっていましたが、再挑戦を誓ってからは、あの時は海が「お前はまだ甘いよ。怖さを知ってるつもりになってるだけだ。本当の怖さを教えてやるよ」と言っていたんだ、ただ自分のレベルが足りなかっただけ、まだ俺は負けてない!と考えて、恐怖を勇気に変えて再び立ち上がります。

 

そして、彼はリベンジを果たす為に再び修練の日々に飛び込むのです。

 

Since then, Iwamoto has done triathlons to get used to swimming in the sea and to help him deal with the trauma of the sinking.

(それ以来、岩本さんは海を泳ぐのに慣れ、沈没のトラウマに対処するのに役立てるために、トライアスロンをしてきた。)

 

since then  それ以来

get used to 名詞(動名詞)~に慣れる

deal with ~  ~に対応する、対処する

trauma of sinking  沈没のトラウマ

 

そして、およそ6年の歳月を経て彼はリベンジを果たしたのです!

史上初の「全盲者の操船のみ」による太平洋横断が実現しました!

 

 

岩本さんは言います。

「一つ目の人生は目が見えなくなり、自殺しようとしたときになくなっています。二つ目の人生は前回の事故です。あのとき命を失っていてもおかしくなかった。そして今は第三の人生が与えられていると思っています。見えないぼくが命を懸けてチャレンジし続けることに意味があるし、ここに第三の命が与えられた目的があると思ってやらせてもらいます」。

  

どんなに辛い過去でも、その解釈を変えることによって未来を後押しする材料に変えることができる――。

 

人生には色々あって当然ですが、これはより良く生きるうえで非常に重要な考え方だと思います。全盲というハンデがありながら太平洋に挑戦する彼の勇気にはただただ感服させられました!

 

そして、今回の岩本さんの最後の台詞です。

 

“I didn’t give up and I made a dream come true. I’m the happiest person on earth,” 

(諦めずに、夢を叶えることができました。私はこの世でで最も幸せな人間です)

give up ~  ~をあきらめる

come true  実現する

on earth  この世で、この世界の中で

 

本当に生き様が格好良くて、とても尊敬します。